手話通訳士は、手話の技術を使って、聴覚に障がいのある人と健常な人との間で、それぞれの意思を伝えあう役割を果たします。手話通訳は技術があれば資格がなくてもできますが、手話通訳士と名乗って働くためには手話通訳士の資格を取得する必要があります。資格を取得する場合は、厚生労働省が認定する手話通訳士の資格試験を受験します。ただし、この試験を受けるためには実務経験が3年以上必要ですので、いずれにしても最初は聴覚障害者が入所する障害者援護施設などで無資格で手話通訳の仕事をすることになります。
実際には、現在はまだ手話通訳だけで独立した職業として成立しているケースは少なく、福祉施設に就職した場合は、介護職や生活相談員との兼務になるのが一般的です。しかし、手話通訳士はただ技術があれば良いというものではなく、障害者の生活や気持ちを理解しておくことが大切なので、他の福祉職との兼務は有意義なものになるはずです。なお、手話通訳士の試験はたいへん難関であるため、初級レベルから段階的に検定が受けられる手話技能検定を受験する人も増えています。
身体障害者援護施設や公共施設、サービス企業など。
手話技術をマスターしていることは必須条件です。つまり一般的な職業のように就職してから技術を学ぶ余裕はなく、即戦力となる実力が求められるということです。また、就職のチャンスを広げるために、福祉か心理関係の資格を何か取得しておきたいところです。手話通訳は、従来ボランティアに頼ることが多かったのですが、ノーマライゼーションの意識が広まるにつれ、福祉関係機関はもとより、聴覚障害者も利用する公共施設やサービス業など、接客を必要とする企業でこれから採用が増えていくことが充分に考えられます。
手話を学ぶ方法はいろいろあります。公的機関が開く無料講習もありますが、ボランティア養成が目的の場合がほとんどですので、仕事としての手話を学びたい場合は、資格スクールなどが開講している有料の講座を利用するようにしましょう。もちろん福祉系の学校(大学・短大・専門学校)でも手話講座を開講していることは多いですし、講座以外にクラブやサークルに所属して、楽しみながら手話の技術を身につける方法も考えられます。
手話通訳士(公)/手話技能検定(民)/介護福祉士(国)/社会福祉士(国)
※(国)国家資格、(公)公的資格、(民)民間資格
日本手話通訳士協会/聴力障害者情報文化センター/手話技能検定協会
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